Q.リピート
定期引き上げ率を上げるには?
定期引き上げ率を上げるには、お試し商品や単品を買った人が「続けるかどうか」を決める時期までに、続ける理由と定期コースの条件を伝え、迷わず申し込める導線を用意します。その前に、何から何への移行を、いつまでの期間で数えるのかを決めておきます。定義が決まっていると、伝える内容・時期・申込みの導線のどこを直すべきかを、数字で確かめられます。
何を「引き上げ」と数えるかを決める
引き上げ率(引上率)は、起点になる購入をした人のうち、次の段階の購入や契約に進んだ人の割合です。お試し商品を買った人のうち本商品を買った人の割合とする説明もあれば、初回購入のあとに本商品の購入や定期購入へ移った人の割合とする説明もあり、何を起点と到達点にするかは、販売の形によって違います。自社で数えるときは、次の3点を決めます。
- 起点:お試し商品(トライアルセット、モニター商品)の購入か、本商品の単品購入か
- 到達点:定期コースの申込みか、単品を含む本商品の購入か
- 期間:起点の購入から何日以内の移行を数えるか
「定期引き上げ率」として追うなら、到達点は定期コースの申込みです。お試しのあとに本商品を単品で1回買った人は、2回目の購入はしていますが、定期には移っていません。初回購入者のうち2回目を購入した人の割合であるF2転換率とは、到達点が違う別の数字として扱います。F2転換率は、141 ANSWERSの「F2転換率とは?」で説明しています。
計算は、同じ時期に起点の購入をした人を追って行います。仮の例で、4月にお試し商品を買った人が500人いて、そのうち購入から60日以内に定期コースを申し込んだ人が75人なら、4月購入者の定期引き上げ率は15%です。「その月の定期申込み数 ÷ その月のお試し購入数」で計算すると、分子に前の月までにお試しを買った人が混ざります。この計算では、お試しの販売数が増減した月に、引き上げの状況が変わっていなくても率が動きます。期間がまだ経過していない月の購入者は、確定した数字と分けて扱います。
引き上げ率の水準は、お試しの価格と量、集客の方法、定期コースの条件によって変わります。他社の数字と比べるより、同じ定義で自社の推移を追います。
お試しの人が、定期を申し込む前に判断していること
お試し商品を買った人は、定期コースを申し込む前に、次の3つを判断します。案内の内容は、この3つに答えているかで点検します。
- 商品を続ける理由があるか:使い方や使う量が伝わり、使い心地や生活の中で使い続けられそうかなど、判断の材料を持てているかを確認します。お試し期間だけでは分からないこともあるため、短期間で効果を判断できるような説明にはせず、商品の根拠に沿って案内します。
- なぜ単品ではなく定期なのか:都度購入と比べた価格、注文の手間、買い忘れがないことなど、定期にする利点が具体的に示されているかを見ます。
- 申し込んだあとに困らないか:次回以降の価格、お届けの周期と変更の可否、休止や解約の方法、購入回数の条件の有無です。ここに答えがないと、商品を気に入っていても申込みを見送る理由になることがあります。
商品の特徴や、続けて使う意味を伝えるとき、広告表現については薬機法・景品表示法等の確認が必要です。
条件を目立たなくして申込みを増やしても、早期の解約や問い合わせが増えれば、継続する顧客や利益の増加につながるとは限りません。条件は、申込みの前に分かる形で伝えます。定期に移ったあとの解約については、「定期通販の解約率を下げるには?」で説明しています。
判断の時期に合わせて、情報を渡す
伝える内容は、お試し商品を使う期間のどこにいる人かで変わります。次の表は整理の一例です。
| 時期 | お客様の状態 | 伝える内容の例 |
|---|---|---|
| お試し商品が届いたとき | これから使い始める | 使い方、使う量と期間、定期コースがあること |
| 使っている途中 | 使い方に迷う、使い忘れる | 使い方の補足、疑問への答え |
| 使い切る前 | 続けるかどうかを考える | 定期コースの利点と条件、申込みの方法、特典に期限がある場合はその期限 |
| 使い切ったあと | 手元に商品がない | 申込みの方法の再案内、単品購入など別の選択肢 |
「使い切る前」がいつに当たるかは、お試し商品の量から見当をつけ、実際に申込みが起きている日数で確かめます。日数や通数に、商材をまたいで使える決まった設定はありません。
手段には、同梱物、メール、LINE、はがきなどのDM、電話があります。同梱物は商品と一緒に手元に届くため、使い始めの案内に使えます。使い切る前の案内には、届ける時期を指定できるメール、LINE、DM、電話が使えます。どれを使うかは、お試し購入のときに取得している連絡先と、案内を送ることへの同意の有無、お客様が受け取りやすい手段で決めます。電話で勧誘して申込みを受ける場合は、特定商取引法の電話勧誘販売に当たる場合があるため、消費者庁の特定商取引法ガイドなどで規制を確認します。
初回購入後の接点については、コラム「F2転換率が上がらない原因は「初回購入後」にある」で扱っています。
申込みの導線を確かめる
案内を読んで申し込もうとした人が、途中でやめていないかを確認します。
- 同梱物のQRコードや、メール・LINEのリンクから、定期コースの申込みページに直接着くか(トップページに着いて、コースを探す必要がないか)
- お試し購入のときに登録した住所や支払い方法を、もう一度入力する必要があるか
- 案内に書いた価格・特典・条件と、申込みページの表示が一致しているか
- スマートフォンで、申込みの完了まで操作できるか(自社で実際に操作して確かめます)
- インターネット以外で申し込みたい人に、電話やはがきなどの手段があるか
入力の手間を減らすことと、条件の表示を省くことは別です。2022年6月施行の改正特定商取引法により、通信販売では、インターネットの最終確認画面や、申込み用のはがきなどの書面に、分量、販売価格、支払いの時期と方法、引渡時期、申込みの撤回・解除に関する事項などを表示することが、原則として義務づけられています。定期購入では、各回の分量、2回目以降の代金、請求・発送の時期、解約の条件などを確認できる表示が必要です。回数が決まった契約か、解約するまで続く契約かによって、総額や一定期間の支払額などの示し方が異なります。無期限や自動更新に当たる場合は、その旨も含め、消費者庁の資料で自社の契約に必要な表示を確認します。
結果を分けて見て、直す場所を決める
引き上げ率を全体の1つの数字で見ていると、どこを直せばよいかが分かりません。次のように分けて確認します。
- お試し購入から申込みまでの日数:申込みが何日目に集まっているかを見ると、案内の時期が合っているかを確かめられます。申込みが集まる時期より案内が後になっているなら、案内を早める余地があります。
- 案内への反応:案内のリンクがクリックされていないなら、内容か時期を見直します。クリックはあるのに申込みが少ないなら、申込みページか、定期コースの条件を見直します。
- お試しの集客経路とオファー:広告の媒体や訴求、お試しの価格ごとに引き上げ率を出します。経路によって差が大きい場合は、購入後の案内だけでなく、どんな期待でお試しを買った人を集めているかも確認します。価格の安さだけを理由に買った人と、続けることを考えて試した人では、定期を検討する度合いが違うことがあります。
- 引き上げ後の継続:定期に移った人が2回目、3回目のお届けまで続いているかを、引き上げ率と並べて見ます。その回のお届け時期まで経過した人を対象にし、継続率だけでなく、継続している人数と利益も確認します。特典で引き上げ率が上がっても、早期解約や特典の費用が増えていれば、成果が改善したとは限りません。
案内や導線を変えた前後で率が動いても、同じ時期にお試しの集客経路や広告の内容が変わっていれば、変更の効果とは限りません。集客の条件が近い月どうしで比べます。
出典
- 「通販の「引き上げ率」とは?計算方法からマーケティング事例まで、3分で理解」FiNE by Findstar GROUP(2016年7月26日)https://www.tsuhan-marketing.com/blog/basic/regarding_upsell_rate
- 「引上率とはD2C(ネット通販)で重要な指標!考え方とアップさせるためのノウハウを紹介」D2C広告研究所 https://d2clab.jp/column2040/
- 「特定商取引の改正について ー通信販売規制を中心にー」消費者庁 取引対策課 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/gekkan/2022/symposium/assets/consumer_education_cms202_220519_03.pdf
- 「通信販売における“最終確認画面”について」消費者庁 https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230628ac01.pdf
- 「電話勧誘販売」特定商取引法ガイド(消費者庁)https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/
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