Q.リピート

ECのアップセルとクロスセルの違いは?

公開 2026.10.13 最終確認 2026.10.13 OFFICE 141編集部

アップセルは、お客様が買おうとしている商品の代わりに、上位の商品や大容量の商品など、より金額の高い選択肢を提案すること、クロスセルは、その商品に加えて、関連する別の商品を提案することです。アップセルは「選ぶものを変えてもらう」提案、クロスセルは「買うものを増やしてもらう」提案で、ECでは、お客様が商品を選んでいる途中なのか、買うものを決めたあとなのかによって、どちらが合うかが変わります。どちらも、お客様にとっての利点が伝わるときに成り立ちます。

違いを項目で比べる

項目 アップセル クロスセル
提案するもの 同じ用途の、上位の商品や大容量の商品。同じ商品のまとめ買い 一緒に使う商品、関連する別の商品
お客様が判断すること どれを買うかを選び直す いま買うものに、もう1つ加えるか
1回の注文で変わるもの 選んだ商品の金額 注文に入る商品の種類
ECでの例 30日分を見ている人に90日分を、通常版を見ている人に上位版を提案する 化粧水を買う人に同じシリーズの乳液を、水筒を買う人に洗浄用のブラシを提案する
お客様にとっての利点の例 1日あたりの価格が下がる、買い足す手間が減る、用途に合った機能を選べる 一緒に使える、買い忘れを防げる、1回の配送で受け取れる

通販・D2Cでは、都度購入から定期コースへの切り替えを提案することも、アップセルと呼ぶことがあります。

用語の線引きよりも、その提案がお客様に「選び直し」を求めるのか、「追加」を求めるのかで考えると、どの場面で出すかを決めやすくなります。

ECでは、どの場面で提案するか

どの場面で出すかに、全社共通の決まりはありません。目安になるのは、その提案がお客様にどれだけ考え直しを求めるかです。選び直しを求めるアップセルは、買うものを決める前の場面のほうが比べやすく、決めたあとに別の選択肢を見せると、お客様はもう一度比べ直すことになります。追加を求めるクロスセルは、買うものが決まったあとのほうが、何と一緒に使う商品なのかが伝わりやすくなります。

商品ページ(選んでいるとき)

アップセルを出しやすい場面です。容量やグレードの違う商品を並べ、何が違い、どんな人に向くのかを比べられるようにします。まとめ買いや定期コースがある場合は、その価格と条件もここで比べられるようにします。関連商品を表示する場合は、見ている商品と一緒に使うものに絞ります。

カート(買うものを決めたあと)

クロスセルを出しやすい場面です。カートに入っている商品と一緒に使うものや、送料無料の条件まであと少しのときに足しやすい価格のものが候補になります。容量の変更のように1回の操作で切り替えられるものを除き、ここで選び直しを求める提案を増やすと、迷って購入をやめるきっかけになることがあります。

購入手続きから完了直後

住所や支払い方法を入力している途中は、比べ直しが必要な提案を増やさず、手続きを終えてもらうことを優先します。完了画面や注文確認メールで関連商品を案内する方法もありますが、注文の直後は、注文が正しく受け付けられたかをお客様が確かめる場面です。入れる場合も、確認事項より目立たせないようにします。注文確認メールに入れる項目は、141 ANSWERSの「購入直後のサンクスメール(注文確認メール)には何を入れる?」で説明しています。

カートや購入手続きの画面にどんな提案を表示できるかは、利用しているカートシステムやECモールの機能によって違います。追加の機能やアプリが必要な場合もあります。

購入後(届いて、使い始めてから)

自社ECでは、商品が届いて使い始めたあと、同梱物のほか、案内の受け取りに同意しているお客様へのメールやLINEで提案できます。使い切る時期が近い人に大容量の商品や定期コースを案内するのはアップセル、使い方に慣れた頃に一緒に使う商品を案内するのはクロスセルです。定期購入を続けている人には、次回のお届けに商品を追加する提案(クロスセル)や、容量やコースを変更する提案(アップセル)があります。

商品が届いて使い始めてからの提案は、主に次回以降の購入に反映されます。注文確定後でも追加や変更を受け付ける仕組みがある場合は、その注文への追加なのか、別の注文なのかを分けて集計します。

定期コースへの切り替えを提案するときに伝える条件と時期は、「定期引き上げ率を上げるには?」で説明しています。

買う側の利点が伝わらない提案は、成り立たない

提案を選ぶかどうかは、お客様がその利点を理解できるかに左右されます。アップセルでは、差額で何が変わるのかを伝えます。1日あたりの価格、使える期間、加わる機能などです。クロスセルでは、なぜ一緒に使うのか、いつ使うのかを伝えます。割引や価格の比較は、比較する条件と根拠を確認し、誤認を招かないように示します。化粧品や健康食品などで効果・効能を説明する場合は、薬機法・景品表示法等に沿った確認も必要です。

在庫を減らしたい商品や利益の大きい商品を、関連を考えずに並べると、お客様にとっては選ぶものが増えるだけになります。購入の途中であれば、迷って手続きをやめるきっかけになり、売り込まれたという印象が残れば、その後の案内の受け取られ方にも影響することがあります。

提案を出す前に、次の点を確かめます。

  • 提案する商品は、選んでいる商品と同じ目的で使うものか(アップセル)、一緒に使うものか(クロスセル)
  • 追加で勧める商品の価格が、元の商品に対して負担の大きいものになっていないか
  • 提案を断る操作が分かりやすく、断っても元の内容のまま購入を続けられるか
  • 追加・変更したあとの合計金額を、注文の確定前に確認できるか

結果は、1回の注文金額だけで判断しない

提案を加えたら、次の数字を並べて見ます。

  • 1注文あたりの金額:売上を注文件数で割った金額です。提案を加える前後で比べます。
  • 提案が選ばれた割合:同じ期間に提案を表示した人のうち、提案された商品への変更や追加をして購入を完了した人の割合を見ます。表示回数や注文件数で集計するツールもあるため、分母と分子の単位をそろえ、変更前後で同じ定義を使います。
  • 購入に進んだ割合:提案を表示した人のうち、購入を完了した人の割合を見ます。商品ページの閲覧者全体や、カートに入れた人全体を使う場合は、提案を表示していない人が混ざっていないかを確認します。1注文あたりの金額が上がっても、購入する人が減っていれば、売上が増えているとは限りません。
  • その後の購入:大容量の商品やまとめ買いを選んだ人は、次の購入までの期間が長くなることがあります。1注文あたりの金額だけでなく、半年や1年といった期間で見た1人あたりの購入金額でも確かめます。上位の商品や定期コースに切り替えた人については、返品や解約が増えていないかも見ます。

前後の比較では、セールや季節による売上の動き、広告の変更が重なっていないかを確認します。重なっている場合、変化が提案によるものかどうかは判断できません。

期間で見た顧客1人あたりの金額の考え方は、「LTVとは?」で説明しています。

出典

  • 「アップセル・クロスセルとは?違いや意味、成功事例や施策を紹介」Salesforce(最終更新日 2026年7月17日)https://www.salesforce.com/jp/sales/what-is-upsell-cross-sell/
  • 「「アップセル」「クロスセル」とは? 意味や違い、顧客単価を上げるポイントを解説!」ネットショップ担当者フォーラム(よむよむカラーミーの記事を転載、2022年8月31日)https://netshop.impress.co.jp/node/9971

自社の場合、どこを見直せばいいか相談したい方へ

OFFICE 141では、CRM・リピート・顧客導線について無料相談を受け付けています。

OFFICE 141編集部が、マーケティング実務に関する一般的な情報をまとめています。内容は公開時点の情報をもとにしており、個別の状況によって判断が異なる場合があります。