
時間をかけて企画したキャンペーン。
クリエイティブをつくり、商品ページを整え、
いざメールを配信してみたら——
思ったほど、開封されない。
「やっぱり、メールはもう読まれないのかな」
そんなとき、
「メールはもうオワコン」
「今はLINE。メールより圧倒的に開封される」
そんな話を目にして、LINE公式アカウントを始めた。
実際、友だちは増えた。
メールより反応も見えやすい。
それなのに。
なぜか、思ったほど売上につながらない。
そんな経験はないでしょうか。
すると今度は、
「もっとリッチメニューを工夫したほうがいいのでは」
「配信の見せ方を変えよう」
「クーポンを増やしてみよう」
と、LINEの改善が始まります。
けれど、本当に問題なのは、
メールでしょうか。
LINEでしょうか。
あるいは、UIやクリエイティブでしょうか。
私たちは多くの企業のCRMを見ていますが、
「メールの開封率が悪い」と悩んでいる企業のメールを実際に見てみると、届いているのは、ほとんどセールスの案内だった。
ということが、決して珍しくありません。
新商品のお知らせ。
キャンペーンのお知らせ。
○%OFFのお知らせ。
期間限定のお知らせ。
企業には、送る理由があります。
でも。
お客様には、それを開く理由があるでしょうか。
LINE登録者が増えているのに売上につながらない。
その原因は、LINEの使い方より、もっと手前にあるのかもしれません。
御社から届くそのアプローチは、
お客様が「欲しい」と思う形で届いているでしょうか。
「メールなんてゴミだ」と言われたとき
以前、
「メールなんて、ほとんどゴミですよね」
というような話を耳にしたことがありました。
そのことを当時の上司に話すと、返ってきたのが、
「ゴミのようなものを送っているからだ」
という言葉でした。
今でも、とてもよく覚えています。
メールという手法そのものが嫌われているわけではない。
自分には関係のないもの。
欲しくないもの。
企業が売りたいだけのもの。
それが一方的に届き続ければ、「いらない」と思われる。
これは、LINEでも同じです。
メールだから読まれないのではありません。
LINEだから読まれるわけでもありません。
大切なのは、
そこに、自分にとって受け取る意味があるか。
です。
「どうすれば開封してもらえるか」の前に、
「この人は、何なら受け取りたいと思うだろう」
と考えてみる。
ここから、CRMは始まります。
メールかLINEか、ではなく。それぞれの「得意」を使う
だからといって、
「LINEよりメールのほうがいい」
という話でもありません。
メールにも、LINEにも、それぞれ得意なことがあります。
LINEは、お客様の日常に近い場所へ、タイムリーに情報を届けやすい。
短いメッセージで行動を促したり、キャンペーンや期限のある情報を知らせたりするのも得意です。
一方、メールなら、
あるテーマについて少し深く伝えたり、商品の背景や想いを届けたり、順を追って理解してもらったり。
LINEとはまた違ったコミュニケーションをつくることができます。
どちらか一方を選ぶ必要はありません。
「今、このお客様に何を届けたいか」に合わせて、それぞれの良さを活かす。
LINEだから短く。
メールだから長く。
ということでもありません。
お客様が今、何を知りたいのか。
どんな形なら受け取りやすいのか。
そこから考え、適したチャネルと表現を選んでいくことが大切です。
開封率30%未満から、60〜70%へ。変えたのは「顧客を見る場所」
私たちがメールを改善するとき、
「どうすれば売れるメールになるか」
だけを考えているわけではありません。
むしろ最初に見るのは、
このお客様は今、何を知ったらうれしいだろう。
ということです。
実際に、お客様が「欲しい」と思う情報へ目を向け、テーマや表現を変えていくことで、
30%を下回っていた開封率が、60〜70%まで上がったケースもあります。
特別な裏技を使ったわけではありません。
件名だけを刺激的にしたわけでもありません。
変えたのは、
「私たちが何を売りたいか」から考えるのではなく、
「お客様は今、何を知りたいか」から考えること。
メールは、一通ですべてを変えるものではありません。
一通、また一通とコミュニケーションを重ねながら、
「この会社から届くものなら、ちょっと見てみよう」
と思ってもらえる関係をつくっていく。
メールでつくっているものは、
もしかすると「信頼」なのかもしれません。
そして、その信頼があるからこそ、
本当に商品を紹介したいときの一通にも、耳を傾けてもらえるようになります。
LINE登録は「成果」ではなく、関係の始まり
これはLINEでも同じです。
友だちが1,000人になった。
3,000人になった。
数字が増えると、施策がうまくいっているように見えます。
けれど、本当に見たいのは、
何人登録したかではなく、その後どんな関係が続いているか。
たとえば、
「LINE登録で500円OFF」
をきっかけに登録した人がいたとします。
その人が欲しかったのは、まず500円OFFだったかもしれません。
大切なのは、そのあとです。
「この会社の情報なら、また見たい」
「次に買うときも、ここで買おう」
そんな関係へつながっているでしょうか。
登録者を増やす仕組みだけでなく、
登録した人との関係をどう育てていくか。
そこまで考えて初めて、LINE登録者数が意味のある数字になっていきます。
「配信を増やす」前に、一度、顧客になって歩いてみる
メールの開封率が下がった。
LINEから思ったほど売れない。
そんなとき、施策を増やす前に、一度やってみてほしいことがあります。
自社のお客様になって、最初から最後まで歩いてみることです。
広告を見る。
LPを読む。
LINEに登録する。
メールを受け取る。
商品を購入する。
届いた箱を開ける。
そのたびに、
「今の自分は、何を期待しているだろう」
と考えてみてください。
LINE登録を促すページでは、何を約束しているでしょうか。
登録した直後、その期待に応えるものは届くでしょうか。
数日後に届いたメールは、そのときの自分に必要でしょうか。
購入した途端、コミュニケーションが途切れていないでしょうか。
一つひとつの施策を見ると、きれいにできている。
でも、顧客として歩いてみると、
「あれ?」
と感じる場所が見つかることがあります。
企業側では、
広告。
LINE。
メール。
EC。
CRM。
と担当や施策が分かれています。
でも、顧客はチャネルごとに企業を見ているわけではありません。
全部、
「この会社との体験」
として受け取っています。
だから、LINEだけを改善する。
メールだけを改善する。
ではなく、
その人がどこから来て、何を期待し、今どんな状態にいるのか。
そこから見直すことで、本当に改善すべき場所が見えてきます。
この「顧客のどこまでを見るか」という考え方は、マーケティング1.0から7.0までの流れに沿って、別記事
「CRMで売上が伸びないのはなぜ?──マーケティング1.0〜7.0が示す、顧客の「どこまで」を見るか」
で整理しています。
「セールス以外、何を送ればいいの?」と思ったら
ここまで読んで、
「でも、セールス以外に何を送ればいいのか分からない」
と思った方もいるかもしれません。
商品を売るためにメールやLINEを始めたのですから、そう思うのも当然です。
そして実は、
「では、自社のお客様は何を受け取りたいのか」
を見つけることこそ、CRM設計の大切な仕事のひとつです。
商品。
顧客。
購入するまでの背景。
購入したあとの体験。
それぞれを見ながら、
誰に、いつ、何を、どんな形で届けるのかを考えていく。
メールかLINEかを決めるのは、そのあとです。
もし、
「自社の場合、何を変えればいいのか分からない」
「施策はたくさんあるけれど、顧客から見たときにつながっているか自信がない」
と感じたら、一度、顧客の側から自社の導線を眺めてみてください。
そして、
CRMのプロの目線で、今の顧客導線を一度見てほしい。
そう感じたときは、OFFICE141の「顧客導線レビュー」もご利用いただけます。
メールやLINEだけではなく、LP、購入前後のコミュニケーションなど、実際にお客様がたどる流れを確認しながら、
どこで期待が途切れているのか。
どこに改善の余地があるのか。
第三者の視点から整理し、お伝えします。


